3月25日と26日の二日間、川崎医療福祉大学が毎年年度末に開催されているTEACCHトピックセミナーに参加してきました。

今年のテーマ「ほんものの支援とは」は、元川崎医療福祉大学教授の寺尾先生の発案でした。

『自閉症の方のハッピーな人生のためには何が必要か。テクニックや上辺だけの成功例にとどまらない“リアリティのある支援”の実践例を出し合う。それらを全国に発信していかなければ自閉症の方々を救えない』

約1年半前に札幌で、寺尾先生と、おしまコロニー星が丘寮の施設長中野さんにお会いする機会があり、そう強くおっしゃる寺尾先生に深く共感したことが始まりです。そこから企画立案のために、寺尾先生、中野施設長、ピュアとで話し合いを重ね、寺尾先生が、川崎医療福祉大学准教授の諏訪先生に話を持ちかけて下さり、実現することができました。

セミナー1日目の午前、門眞一郎先生による基調講演「あらゆる支援の基礎となるコミュニケーション支援」では、理解コミュニケーション支援に偏っている現状がある。表出コミュニケーションがいかに重要か。障害特性に対する知識不足、問題行動への対応に対する技術不足の結果、障害者虐待や行動障害が起きている、とズバッとおっしゃっられたことが非常に印象に残りました。

午後のシンポジウムでは、
3つの話題提供
1,早期療育について
2,強度行動障害のある方の地域支援
3,自閉症の方々の成人期の暮らしを支える
のテーマでそれぞれ実践者からの報告があり、寺尾先生がコーディネーターを務められてディスカッションが行われました。

寺尾先生から会場に向けたまとめのコメントでは、
・自閉症の支援は昔と違いだいたいどのようにすればいいのか分かってきている。だからこそ、それぞれの地域で切磋琢磨し培った支援のアイデアを出し合い共有していくことが大切である。
・強度行動障害はなぜつくられるのか、自閉症の方が人生の最後に幸せだったと思えるのか、そこをもっと議論していかなければならない。
・スタッフの育成が大事。スタンドプレーじゃなくチーム形成が必要。
・これ以上不幸な自閉症の人をつくらない。
と力強くおっしゃられました。

二日目は3つの分科会が開催されました。
「就労を考える」「生活を考える」「教育を考える」のライフステージ別に3つの課題に分けられて、それぞれ2例ずつ実践者による話題提供がありました。
この分科会では、自閉症の方の課題を支えるための画期的な工夫や、綺麗ごとじゃ済まされない本音の部分を出し合った、有意義な分科会だったのではと思いました。

以下は、セミナーの最後に諏訪先生から全体総括としておっしゃられた内容です。

『ほんものの支援の本物とは、答えは一つではなく、探し続けることではないでしょうか。
その答えは、自閉症の方と自閉症のご家族が証明してくれる、子ども達の変化が結果ではないかと思います。私たち支援者は、自閉症の方の学び方の違いを知って教えていくことが重要で、チームを形成し折り合える努力が必要です』
とおっしゃられました。
答えはご本人が出す。この一言に尽きると深く共感しました。

以上が私の感想ですが、このようなセミナーがこれまであったでしょうか。私が過去に参加してきた中では例のない非常に濃い内容だったと思います。

この度の内容は、一回限りで終わるのではなく、今後もより多くの方に知っていただけるよう、機会があれば次は大阪で開催できたらいいなと考えています。

本日4月2日は世界自閉症啓発デーです。自閉症の方の人生が幸せでありますように、これからも日々実践を重ねていきたいと思います。

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川崎医療福祉大学の先生方と、セミナーに登壇された皆様との懇親会記念写真です(皆様大変お世話になりました。本当にありがとうございました)。
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セミナーに参加したピュア職員との二次会です。
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2日目、セミナー終了後に先生方と岡山の地ビールを堪能しました。
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